子供; ねぇねぇおじさん。黒塗りってなあに。アダモちゃんのこと?
おじさん; 坊や、黒塗りとはな、畦の内側に泥を塗り、畦から水が漏れないようにすることじゃ。その泥も、塗りやすいよう、まず、冬に乾かした田んぼを耕し、田んぼに水を入れたあと、代掻きつまり、ドロドロ耕して、泥をつくり、作業前に水を田んぼから抜いて、泥を上げて泥を押しつけるのじゃ。泥の 水分量で粘土が変わるのじゃ。泥を上げる作業は三つ又クワを使うと、泥に突き刺しやすく、持ち 上げると余分な水分が抜けるのじゃ。畦の補修はモグラとザリガニとの戦いじゃ。
子供; なんか、いっぱいいろんな仕事したぞって言ってるだけじゃん。
おじさん; 今回、2日で延べ13人(おじさん含む)働いたぞ。
子供; 写真、すげー地味なんですけど。単純肉体労働じゃん。
おじさん; 2日間で田んぼ12枚、5反、1500坪分の田んぼの黒塗りをやったぞ。
これが初日 こっちが二日目。
子供; じゃじゃ、なんで水が漏れたらいけないのー。
おじさん; 水が漏れると雑草が生えるのじゃ。水の中で発芽できる植物は種類が少ないが、田んぼに水が無くなると、いろんな雑草が生えて、養分を取ったり、風通しを悪くしたりするのじゃ。農業とは雑草との戦い。同じ植物だけを育てたいのじゃ。その秩序を保つのに水田という方法を取るのじゃ。つまり、万物が混沌へと向かうエントロピーの法則を上手にあしらってるのじゃ。
子供; 雑草抜けばー。
おじさん; 雑草を抜く姿勢は、内側のももの筋肉を鍛えるのに最適じゃ。カロリー消費も大きいぞー。
子供; 雑草という名前の草はありませんー。草の名前を言ってくださいー。
おじさん; おじさんは、工学部出身の植木屋さんだから、名前までは・・・
子供; おじさん、とにかく楽がしたかっただけっしょ。黒塗りの機械も買えないし。
おじさん; はい。そのとおりです。だから、竹の子取ったり、 稲の苗作りしたり、 水芭蕉、巨木を見たり、谷の奥を散策したりして、ごまかしてました。
すいません。
子供; おじさん。もう少し正直に生きなよ。
おじさん; 本やインターネットで情報を集めるだけじゃなく、五感で学ぶのが、上総(かずさ)自然学校じゃ。
子供; ところで、おじさんは何年生? ではでは
うえだでした。
もっといいオチがあったら、コメントください。