上総自然学校はどんなところ?~里山再生の遍歴①~
上総自然学校の活動地は標高100m程度の山の尾根筋と、その間に入り込んだ7つの谷を中心にした総面積約60haのエリアがフィールドです。この中に谷津田(谷に連なる段々田んぼ)、畑、山林が入り組んだ「里山」を形成しています。谷奥を水源とする大月川は、やがて小櫃川に合流し東京湾に注いでます。この地はゴルフ場の大規模開発から逃れた貴重な河川流域であり、人の手の入った谷、耕作放棄された谷、残土で埋められた谷、土取りで無くなろうとしている谷と、様々な状況が集約されている特異な環境でもあります。
今でこそ、お米作りや自然観察会等のイベントを行い山へ入り、谷を渡ることができますが、7,8年前までは山はおろか谷にさえも背丈以上の草木に覆われていたため、立ち入ることはできない状態でした。まずは地元の方にご指導いただき、草刈機を手に開墾するところから始まりました。。。
2004
動植物の専門家より当該活動地の希少性を指摘され、「それなら開墾でもしてみようか?」、と武蔵工業大学吉崎研究室の人々とともに、荒れていた谷津田(山の谷間に連なる田んぼ)の開墾に着手し活動が始まる。
土を動かして平らにしないと田んぼになりません。あぁ、いつになったら。。
2005
何とか開墾が進み、なんと田んぼ4枚(約1.000㎡=約1反)に田植えをする。記念すべきお米作り第一歩である。いろいろな経験のなかで自然豊かな里山の再生と保全の大切さを実感。本格的に活動を始めるべく上総自然学校設立。主な活動目標は、
“与えられる豊かさだけでなく、自ら関わり創出し利用していく豊かさの追求”
“里山の自然を循環利用し、放置され失われつつある里山の自然の多様性の保全”
“里山の暮らしで培われてきた技や知恵を次世代へ継承していく場の提供”
里山は何百年ものあいだ人と自然が作り上げてきた、人と自然が共存していく智恵の宝庫です。それは人が本当に豊に生きていくヒントがたくさんちりばめられています。そんな宝物を多くの人と共有していきたいと私達は願っています。
(写真①)とほぼ同じアングル。左側がブッシュで隠れていた谷津田。 下から2枚ほどを田んぼに復活させて田植えをした。
こちらはさらに上に登ったところ。3枚目より上は開墾途中。 子供たちが里山観察にやってきた☆
2006
開墾は更に進みなんと4.000㎡(約4反)に倍々増!耕耘機とトラクターを中古で購入。上総自然学校として本格的にイベントもスタート。3月・開墾から始め、4月・畦塗り、5月・田植え、6&7月・草取り、9月・稲刈り、10月・収穫祭とイベントを行う。
梁(やな:田に隣接する山のふもと)の笹刈り。谷津田では梁刈りをしないと田んぼに光が入らないし、風通しも悪くなる。平地の田んぼでは無い作業。これが手間がかかるので放棄されやすい原因でもある。
(写真①)と同じ谷津田を正面から撮ったもの。なんと奥9段目まで開かれました。写真①では1段目すら見えなかったのに・・!
4月畦塗り。田んぼの水が漏れないよう畦に田の泥をぬりつけ均します。
2007
★開墾した谷津田の隣の谷の谷津田を耕作していた地元の方が引退するということで、上総自然学校で耕作を引き継ぐ。耕作面積は更に倍増で7,500㎡(約7反5畝)に!
★2004年から開墾を続けていた谷津田の風景もどっしりと落ち着いてきて、まさかここがブッシュに覆われていたなんて想像もできないくらい!
★収穫祭では稲刈り後の田んぼにレンゲの種を蒔いてみた。(その昔まだ化学肥料が無かった頃、田んぼにレンゲの種を蒔き、翌年の春に花が咲いたら土に鋤き込み田んぼに肥料にしていた。レンゲが一面咲き乱れている春の田んぼは昔ながらの風景だった)来年春にはレンゲ田んぼが見られるかなぁ。。
冬のうちに田んぼの水たまりにアカガエルが産卵する。すごい数!!
6月草取り。田んぼでは無農薬なので草を抜かなければならない。。
(写真①)と同じ谷津田。2006年よりも若干開墾が進み、最奥がすっきりしている。
2008
耕作面積はちょっと増え、8,000㎡に。この年から冬の森林整備イベントを始める。谷津田は山に隣接している田んぼだが、山は背丈以上の笹が繁茂していて、とてもじゃないけど入れない。まだ石油やガスがなかった頃、人々は薪を採りに山に入り、木を伐採しては育て、伐採しては育て・・と山の幸を上手に利用して暮らしていた。また、冬に落ち葉を集め堆肥を作り田や畑にまくなど、山と人々の暮らしは密着していて、山は裸足で走り回れる子供たちの遊び場でもあった。せめて山に入れるようになりたい、そして昔の人々が山を上手に利用していた智恵を伝えていける場所をつくりたいという思いから森林整備イベントが始まった。この年参加者が手に鎌を持ち笹刈りに励み、およそ100㎡ほど切り開かれる。
同じく冬のイベント 山の笹刈り。大変だけど景色が開かれていくのは気持ちいい。
刈った笹でBIG焚き火☆ すごいんだ、これが。焚き火の前では誰もが無言で立ち尽くす。見入ってしまうのです。
上総自然学校のフィールドにはまだ耕作放棄された手つかずの谷が2本ある。1本は残土埋め立て地となり、荒廃感あふれる。
~②に続く↓~
http://sinkoji.cocolog-nifty.com/news/2010/12/post-c2e1.html
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